夜中に突然ぴーマキュちゃんに共感して爆泣きした話～2021年星組公演「ロミオとジュリエット」～
ずっとずっと私の心に棘みたいに刺さり続けている存在、それが天華えまさんが「ロミオとジュリエット」で演じられたマーキューシオ。極美慎さんも演じられていたけれど、どういう訳か天華さんのマーキューシオだけが心の奥の方にずっといる。そして昨夜、突如としてぴーマキュ（天華さんマーキューシオの愛称です）について一つの真理にたどり着いてしまった。自分語りっぽいので不快に思われる方はお読みにならないでください。
ぴーマキュが抱える、ロミオ（礼真琴さん）への感情。これがどういったものなのかをずっと考えていた。一幕ではあれだけ笑顔で楽しそうに話し、ふざけ合い、絆の強さを見せていたのに、二幕ではナイフを向ける程の怒りを見せる。強い絆を感じているからこそ、裏切られたショックでそこまでの行動に出たのもあるだろうけれど、果たしてそれだけだろうか？ぐるぐると考えているうちに、「強い憧れゆえの嫉妬と自分自身への失望」が彼にそうさせたのではないかと思えた。
ロミオは圧倒的な光のような存在で、本人に全く自覚がなくてもいつもみんなの中心にいる。優しさに満ち、両親にも仲間たちにも愛され、けれどもどこか満たされない顔をしている彼は、マーキューシオにとって大切な友人であると同時に、自分に持っていないものを沢山持っている憧れの存在であり、しかしそれだけ色々なものを持っていながら満足しない彼に対して少なからず嫉妬や苛立ちがあったのではないか。そして、そんな風に友人を羨む自分が嫌で嫌で仕方なかったのではないか。
そこまで考えつき、私にも同じような経験があることに気付いた。私の友人にも、ロミオのような人がいる。明るくて優しくて友達が多く、いつもみんなの中心にいて、彼女と一緒にいるととても楽しいのだけれど、反面、心の奥底に黒い汚い感情が湧き出ることも確かにあった。憧れていた。私も彼女のようになりたくて、けれど絶対になれない自分に失望する。本当に大好きで大切な友人なのに、疎ましく思う瞬間がある。それは、圧倒的な光である彼女が私ではない方向を向いた瞬間だ。光が当たらなくなった私に、暗くて濃い影が差す。取り残されたような気持ちになった私は、どうしようもなく彼女に嫉妬してしまうのだ。なぜ彼女ばかりが多くのものを持っているのかと。
マーキューシオにも同じ気持ちがあったとするなら、大切なロミオにナイフを向けた気持ちが痛いくらいに理解出来る。自分たちに向けられていた光は全てジュリエットに注がれ、自分には真っ暗な影が差して、心の奥の黒い感情が鎌首をもたげる。それでも信じたくなくて、傷付けたくないから、縋るようにロミオに弁明を求めるけれど、彼の頭の中がジュリエットでいっぱいなのは考えなくても分かる。「僕はまだ君たちを愛しているんだ」というロミオの言葉も空しく、マーキューシオの心は真っ黒に染まってしまったのではないか。「格好つけた臆病者 残忍な人でなし」。ティボルト（瀬央ゆりあさん）に向けて吐き出した言葉は、自分自身にも向けられていたのだろう。虚勢を張っても本当はロミオやベンヴォーリオ（綺城ひか理さん）がいないと生きてはいけない臆病者。自分の心の均衡を保つ為に大切な友人を心の中で貶めてしまうような残忍な人でなし。決闘の場面、相手を傷付ける言葉を吐き出しながらどこか自分自身を傷付けているように見えたのは、その言葉がティボルトに向けたものであると同時に、自分自身の最も汚いと思う部分だと自覚があったからなのだろう。それでも、友情、憧れ、嫉妬、失望、色々な感情に苛まれた彼が最期に遺した言葉が「ジュリエットを愛し抜け 全身全霊で」だったのは、ロミオへの友情が何より強い感情だったからなのかもしれない。
夜中に突然ここまで行き着いて、寝なければいけないのに爆泣きした。勝手に気持ちをリンクさせて爆泣きするという、ぴーマキュちゃんにとって最も迷惑で気持ち悪い行為だけれど、だって仕方ないじゃん、私は痛いオタクだもの。こうして激重考察オタクが仕上がっていくのだなあと実感した。
ぴーマキュちゃん、どうか来世では幸せでいて。