贔屓の退団が発表された日

なんとなく、察してはいた。数日前に友人にその話をしたばかりだった。そして友人に言われた。「もし今回退団だったら、ホッとする?」私は迷わず頷いてしまった。人生のほぼ中心に「天華えまさん」という存在を据えてしまっている今、楽しい反面、苦しいと感じてしまうこともあった。もし退団なら、その苦しさにも終わりが見える。解放されるかもしれない、と心のどこかで思っていた。そして友人はこうも言った。「ここを乗り越えれば長くいてくれそうだけど…」そう、今こそ分かれ目なのだ。状況的に、カードが揃いすぎている。けれど、私のこの「察し」は今まで当たった試しがない。どうせ当たんないけどね、なんてケラケラ笑いながら話していた。

2023年11月8日。奇しくも一年前に「Stella Voice」の上演が発表されたこの日、天華えまさんが2024年4月6日の「RRR/VIOLETOPIA」東京公演千秋楽をもって宝塚歌劇団を退団されることが発表された。あぁ、こういう時ばっかり当たるんだな…。察していただけに、意外とすんなり「退団」という文字を受け入れることは出来たし、正直ホッとした。ただ、受け入れたからと言って寂しくない訳ではない。頭が真っ白になって「あれ…?今何しようとしてたんだっけ…?」を30分に5回くらいやったし、どうしても込み上げるものはあって、お手洗いに避難してボロボロ泣いた。来年の4月7日になったら、私の大好きな「宝塚歌劇団星組男役の天華えまさん」には会えなくなってしまうんだ。きっと彼女がいなくなってしまったら、私はまた宝塚と少し疎遠になってしまうのだろうな。それも寂しいな。けれど不思議と喪失感はなくて(4月7日になったら抜け殻みたいになってしまうかもしれないけれど)、どちらかというと、天華さんを好きになったばかりの頃の胸がいっぱいな感じが戻ってきたような感覚。心にぽっかり穴が開いたというよりは、胸の奥の奥に押し込めていた彼女に対する尊敬やら感謝やら慈しみやら色んな想いがむくむく膨らんで、胸がいっぱいになっている感じ。きっとこれは、彼女からもらった幸せや喜びのお陰なんだと思う。

今まで私は、贔屓の退団を見送ってこなかった。応援し続けること、退団という「お別れ」と向き合うことから逃げていた。私はそのことを今になって後悔しているけれど、きっとそういう楽しみ方だってあると思うし、悪いことじゃないとも思う。でも今なら分かる。これは「お別れ」じゃなくて「節目」なんだ。だからこそ、今度こそちゃんと大好きな人が飛び立つ姿をお見送りが出来ること、その節目に立ち会えることがとてもありがたく、ものすごく嬉しい。めちゃくちゃ寂しいけど…。

本当にかけがえのない、楽しくて大切な時間をたくさんたくさんくださった、私にとって一番輝くお星さま。何を想って、どういう未来を描いてこの決断をしたのか、それはこれから彼女の口から語られるだろうから、それを楽しみに、余計な憶測はしないで待ちたい。彼女がどんな道を選ぶにしても、心の底から応援しているし、とにかく退団のその日まで健康で、愛と幸せと笑顔に溢れた日々を送ってほしいなと思う。最後まで、自分の出来る範囲で、全力でついていきます!!!!